Grimes、初音ミクとコラボ新曲〈Miku-maxxing〉を発表

カナダのポップ・アーティストGrimes(本名クレア・バウチャー)が、日本のボーカロイド歌手初音ミクとコラボレーションし、高速電子楽曲〈Miku-maxxing〉を発表した。この曲は初音ミクの新プロジェクト「Beyond Borders」の先行曲で、6曲収録のEP《Beyond Borders Vol.1: Emerge M♡de Miku》に収められる。共同プロデューサーは近年ボーカロイド界隈で頭角を現している匿名プロデューサーSatapanP。Grimesは楽曲発表の数日前にNMEのインタビューに応じ、作者を特定しない合成音声とのコラボレーションについて語っている。
「Beyond Borders」プロジェクトの詳細
NMEの報道によれば、《Beyond Borders Vol.1: Emerge M♡de Miku》にはGrimesのほか、George Clanton、Frost Children、Odetariら西側のインターネット発ミュージシャンが参加しており、EP全体で6曲が収録される。
このプロジェクトは日本の文化庁が支援し、メディア企業のDwango、Nebula17と共同で進められている、ボーカロイドの海外展開を目指す大規模な取り組みの一環だ。Grimesは、最初に依頼のメールを受け取ったとき非常に驚いたと語る。依頼主が「日本政府」に相当する組織だったからで、彼女はこれを「これまでで最も迷う必要のなかったコラボレーションの誘い」だったと表現している。
〈Miku-maxxing〉の共同プロデューサーであるSatapanPは17歳の女子高生というキャラクターで活動しており、実際の身元や性別は公表されていない。作風は密度の高いリズムとジャンル横断的なコラージュで知られる。2026年の楽曲〈Singularilari〉では、初音ミクをAI時代に直面して動揺するディーバとして描いた——より「人工的」な存在に追い抜かれることを恐れる合成音声、という設定だ。
Grimesと東アジアのポップカルチャーとの関わり
Grimesは以前から東アジアのポップシーンと交流がある。aespaにインタビューを行ったほか、LOONAのユニットyyxyの楽曲〈Love4eva〉にフィーチャリング参加。さらに台湾のアーティスト潘PANを《Art Angels》収録曲〈Scream〉に迎えている。
本人によれば、日本のポップカルチャーへの入り口はまずビジュアル文化だったという。Dir En Greyなどのヴィジュアル系バンドに夢中になったのが始まりで、菅野よう子やきゃりーぱみゅぱみゅの美学は、2012年の《Visions》から《Art Angels》に至る彼女の創作に影響を与えたと語っている。
合成音声と「作者」の在り方
Grimesは、初音ミクの存在を知ったとき嫉妬に近い感情を抱いたと明かす。内向的で人前に出るのが苦手ながらもポップアイドル的な美学に関わりたいと考える創作者にとって、この形式はほぼ理想的だと述べ、デジタルアバターとして活動するVTuberとも結びつけて、「自分がもう少し後の世代に生まれていたらVTuberになっていただろう」と語った。
ここ3年、Grimesは同じテーマを追い続けている。2023年には自身の声をAIモデル化した「Elf.Tech」を公開し、印税を五分五分で分配する仕組みを導入。それ以前にはデジタルアバターWarNymphを制作していた。2025年の楽曲〈Artificial Angels〉はAIの一人称視点で書かれており、この曲のプロデューサーであるGrant BoutinとVadakinも、今回の初音ミクとのコラボレーションに参加している。