Turnstile、22曲収録のリミックス盤『Never Enough: Versions』を発表

ハードコアバンドTurnstileが、2025年発表のアルバム『Never Enough』を土台にした再構築企画『Never Enough: Versions』を発表した。全長22曲で、デスメタルからポップ、エレクトロニック、インディーフォークまで異なるバックグラウンドを持つアーティストたちが原曲を書き直している。楽曲によっては複数のバージョンが存在する一方、1バージョンのみのものもあり、原曲の骨格を残しつつ改作者自身の語彙を加えるという振れ幅の広さが特徴だ。Far Out Magazineは、本作が従来の「リミックスアルバム」の枠組みをさらに押し広げていると指摘している。
参加アーティストと改作の方向性
現時点で確認されている参加者と担当曲は以下の通り。
- Dying Fetus:代表曲〈Birds〉をうなり声主体のデスメタル版に改作。原曲の高揚感を凶暴なトーンへと転換した。
- Elton John:〈Seein' Stars〉にピアノを重ね、ボーカルのBrendan Yatesの歌声と呼応させた。
- Slayyyter:〈Birds〉の別バージョンを制作し、ハードコアとエレクトロクラッシュを接続。
- Dan Deacon:〈Dreaming〉をシンセサイザー主導のアレンジに変換。子守唄のような低いテンションから、ビデオゲームのテーマ曲を思わせるメロディへと展開させた。
- Faye Webster:〈I Care〉のテンポを落とし、アコースティックギター主体のバラード仕立てに。
- Blood Orange、Hayley Williams:原盤への参加者2組が再登板し、それぞれ自身が関わった楽曲を手掛けている。
バンドの現メンバーは、ボーカルのBrendan Yates、ギターのMeg MillsとPat McCrory、ベースのFranz Lyons、ドラムのDaniel Fang。本企画では参加者それぞれに自由な改作の余地が与えられているという。
『Glow On』から『Never Enough』へ
2021年作『Glow On』以降に高まった注目度は、『Never Enough』にも引き継がれている。同作はハードコアを基盤にしながらシンセサイザーやブラスをより多く取り入れ、複数のゲストミュージシャンを迎え、内省的でソウルの色合いを帯びたパートを作り上げた。
『Never Enough』には、YatesとMcCroryが共同監督した映像作品も存在する。半ば連続性を持った短編で構成されており、アルバム各曲のミュージックビデオに相当するものだという。Yatesはインタビューで、制作中に時間の経過や、無限の宇宙に身を置くことで生まれる孤独感、あるいは帰属感について考えていたと語っており、各曲がそれぞれ異なる宇宙に入り込むイメージだと述べている。
Far Out Magazineは本企画を、Charli XCXが2024年の『Brat』発表からわずか4カ月後にリリースした『Brat and It's Completely Different but Also Still Brat』と並べて論じている。両者はともに他アーティストによる改作を通じて、1枚のアルバムの寿命を引き延ばす試みだという点で共通する。