独Dortmundのクラブ「Tresor.West」、年内閉鎖へ 7年の歴史に幕

ドイツ・Dortmundの電子音楽クラブTresor.Westが公式Instagramで、今年末をもって営業を終了すると発表した。2019年末にオープンし、約7年間の営業を経ての閉鎖となる。運営チームは声明で、空間と音響をめぐる共同体として築いてきた時間だったと振り返りつつ、この場所自体の価値は信じているとして、ジャンルにとらわれない運営を続けてくれる新しい事業者を探していると明かしている。
会場の沿革
Tresor.Westは、ベルリンの伝説的クラブ「Tresor」の創設者Dimitri Hegemannが主導して開設した。Hegemannはルール地方(Ruhrgebiet)出身で、Tresorブランドを「西へ」展開する構想を20年近く温めていた。当初は地元Werl近郊の廃止された発電所への出店を計画していたが、地元の政治的事情で実現しなかったという。
最終的に拠点となったのは、Dortmund南部Hördeにある旧製鉄所跡地「Phoenix-West」。重工業の遺構を再開発したエリアで、クラブはWarsteiner Music Hallの地下フロアに、上階の会場とは独立した形で設けられた。2019年11月にMusik und Maschineというフォーラムの開催期間中にプレオープンし、同年12月20日に正式オープンしている。
空間と音響へのこだわり
- 地下フロアの収容人数は約750人
- 音響・照明設備への投資で知られ、ノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW)を代表する電子音楽会場のひとつとされてきた
- 2つのDJブースはコンクリート打ちっぱなしに鋼板を埋め込んだ造りで、跡地の製鉄業の歴史を反映している
- 再始動の段階では一部空間に光のアート作品を取り入れ、クラブシーンと現代アートシーンを意図的に橋渡ししていた
コンセプト重視のパーティ、そしてコロナ後の経営難
Tresor.Westはブッキングだけでなく、DJのラインナップを並べるだけに留まらない、テーマと空間演出を軸にした企画型のパーティでも知られていた。振る舞いに関する独自の行動規範やawareness(配慮)の基準を備えたクラブとしてのアイデンティティを築き、国内外・地元のアーティストを迎え入れてきた。
しかし道のりは平坦ではなかった。2019年末のオープンからわずか約3カ月でコロナ禍による休業を余儀なくされ、その後再始動。近年は運営コストの上昇、客単価の低下、助成金の不足といった経営上の課題を繰り返し公表し、「#SaveTheUnderground」という取り組みを立ち上げ、参加のハードルを下げた「Community Nights」などの企画で会場の存続を図ってきた。運営チームは、純粋なテクノ路線だけではコロナ後の状況を支えきれなくなり来場者数が明確に減少したとして、年内での営業終了と、よりジャンルに開かれた形で引き継いでくれる事業者探しを選んだと説明している。
現時点でわかっていること
- 会場:Tresor.West(Phoenixplatz 4, 44263 Dortmund, ドイツ)
- オープン:2019年12月20日(同年11月にプレオープン)
- 創設者:Dimitri Hegemann(ベルリンTresorの創設者)
- 営業期間:約7年
- 営業終了:今年末
- 発表:Tresor.West公式Instagram
まだわかっていないこと
最終期間のプログラムやクロージングパーティの詳細、会場の引き継ぎ先の進捗については、現時点で続報が出ていない。今後の情報は会場の公式アカウントでの発表が頼りとなる。