Eli、NMEの表紙に登場 ——『Stage Girl』で注目を浴びた後の現実と向き合う

アメリカのシンガーソングライターEliが英音楽誌NMEの表紙を飾り、ビデオ取材でブレイクから1年を経た心境の変化を語った。ロサンゼルス在住、25歳の彼女は2025年にデビューアルバム『Stage Girl』を発表。同作はNMEによって昨年の「ベスト・デビューアルバム」の一つに選ばれている。作品のテーマは、ポップスターになる夢を追いかけること自体をメタ的に描いたものだ。このインタビューは2026年10月5日に掲載された。
『Stage Girl』とZelig Records
Eliはマサチューセッツ州の小さな町の出身で、根っからの演劇好き(シアターキッズ)。Mariah Careyのような歌唱力のあるシンガーやオーディション番組に影響を受け、10代の頃から自室で録音し、シングルを発表し続けてきた。一時期はVineで注目を集めたインフルエンサーでもあったという。ニューヨーク大学(NYU)でRecorded Musicを学んだ後、ハリウッドを拠点に活動を開始し、Mark Ronsonが主宰するレーベルZelig Recordsと契約した。
彼女の音楽は演劇的な雰囲気を帯びたY2Kスタイルのポップとされ、歌詞は極めて告白的だ。〈Marianne〉は過去の恋愛で受けた傷を扱い、〈Somebody I'm Not〉はトランスジェンダー女性としてのジェンダーへの不安とパフォーマンス性に真正面から向き合っている。支持を表明しているアーティストにはTroye Sivan、Doechii、Zara Larssonらがいる。
Strange Girlツアーと Daisy Chain Fields
Eliは今年、北米ツアー「Strange Girl」を実施。ツアー終盤の構成は、より暗く、偏執的な演出へと変更し、音楽業界に内在する資本主義的な問題を批評する内容に仕立てた。
8月には、Olivia Rodrigoが初めて主催したチャリティイベント「Daisy Chain Fields」に招かれて出演。同イベントにはMitski、Santigold、Stevie Nicksらも出演している。Eliは会場に向かう車の中で書いたというオープニングスピーチからステージをスタートさせ、調和と自由、そして「金持ちを食い物にしよう」という趣旨のメッセージを訴え、会場からは拍手が巻き起こった。
批判と本人の考え
このスピーチ映像がネットで拡散すると、一部からは中身のない「シャンパン社会主義」だと批判され、父親が投資会社Geode Capitalの最高執行責任者(COO)を務めていたことを引き合いに偽善的だと指摘する声も上がった。Eliはこれに対しNMEに対し、望んでいた名声を得れば完全に幸せになり、トランスジェンダーであることを公表し、得た富を他者に還元できると思っていたが、今はもっと大きな問題に取り組み、もっと大きな対話を始める必要があると気づいたと語った。Daisy Chain Fieldsは、自分がアーティストになった本来の理由——世界において革命と癒やしの力になりたいという思い——に改めて立ち返るきっかけになったという。