韓国インディーロックSilica Gel、3rdアルバム『Ballad Of You』を発表

韓国の4人組インディーロックバンドSilica Gelが、2026年8月20日(木)に3rdアルバム『Ballad Of You』をリリースした。レーベルはCAM。手塚治虫の未完の漫画『火の鳥』をコンセプトの起点とし、バンド史上もっとも英語詞の比率が高い作品となった。同日、音楽メディアNMEもレビューを掲載し、韓国インディーシーンにおける「不可解でありながら惹きつけられる」存在として同バンドを紹介した。
コンセプト:『火の鳥』と「螺旋の脱皮」
『火の鳥』は手塚治虫による全12話のシリーズで、輪廻と不死というテーマを繰り返し扱った作品として知られる。Silica Gelはこれを起点に、「spiral molting(螺旋の脱皮)」という独自コンセプトを展開した。輪廻とは同じ人生を繰り返すことではなく、絶えず前へと進み続けることだという解釈だ。
ボーカルのKim Hanjooは、テンポの速い〈Big Void〉で、かつて自ら封じ込めた言葉を来世へ持ち越すことを歌っている。2016年のセルフタイトル1stアルバム収録曲〈Everybody Does〉は80年代オルタナポップ的な乾いた質感を持ち、2023年の〈Ryudejakeiru〉ではより開放的な展開へと向かった。本作はこの創作の系譜を引き継いでいるという。
収録曲とサウンド
ドラマーのKim Geonjayは昨年夏、NMEのインタビューでJapanese Breakfastとのコラボ曲〈NamgungFEFERE〉について触れた際、バンドの目標は「ただ楽しいことをする(something fun)」ことだけだと語っている。『Ballad Of You』はおおむねこの姿勢を貫いた作品だ。〈Crybaby〉は密度が高くも明るい橋渡し的な楽曲で、シングル〈Molecular Gastronomy〉はきらめくようなサウンドの合間に鋭いギターソロを差し込む。〈Postpink〉は艶やかなグルーヴで進行する。
アルバム中盤の〈You Just Wanna Have Some Fun〉は、作品中でもっとも意外性のある一曲だ。バンドは遊び心を極限まで押し出すのではなく、オルガンのコードを主体とし、最後はハミングのようなドローンにフェードアウトしていくインストゥルメンタル曲を収めた。NMEはこれを、アルバムの核心部分に置かれたさりげない冗談のような楽曲だと評している。
NMEによる評価
NMEは、『Ballad Of You』はアイデアの密度こそ高いものの、全体としてのインパクトは2023年の前作『Power Andre 99』には及ばないと指摘。〈Up Quark〉などの楽曲には、やや焦点の定まらない部分もあるとした。それでも、そうした箇所においてもバンドの個性はリスナーを引きつけるに十分だとし、英語詞の比率を大きく高めたこと以上に、この特異性こそがSilica Gelの国際的な注目度を広げる鍵になるかもしれないと評している。
リリース情報
- アルバム:『Ballad Of You』(3rdアルバム)
- 発売日:2026年8月20日(木)
- レーベル:CAM
- 言及された収録曲:〈Crybaby〉〈Molecular Gastronomy〉〈Postpink〉〈You Just Wanna Have Some Fun〉〈Big Void〉〈Up Quark〉